節分である。
今年の恵方は、北北西ということらしい。
日本酒と永谷園のお吸い物、そしてデザートに苺を用意し、近所の寿司屋で入手した幸福巻¥700にかぶりついた。
恵方巻を食べるときは、恵方に向かって、一言もしゃべらずに食べきるのがいいとされる。
今年はそれをまじめに実施してみた。
自分は、何でもすぐに言葉にしてしまう人間なので、食べ始めた刹那「うまい!」と叫びそうになったが、そんな言葉を何度もこらえて、全力で食べきった。
今回の恵方巻はスーパーでは買わずに、近所の寿司屋で予約した。
昨今のコンビニやスーパーの商売っ気を前に押し出した売り方に、やりすぎな印象を持っていて、はるか前から恵方巻をやっていた「元祖」の方に歩み寄りたかったのである。
よく前を通る寿司屋だったが、店内に入ったことはなかった。
予約をした恵方巻をとりに入ってみると、なんとそこは店ではなくて、商品の受け渡し所のような場所だった。
「寿司屋はやっていないんですか」
「はい。時代の変化も受けて今はもう仕出しだけなんです」
恵方巻の受け渡しをしながら、店員のおばちゃんと少し話す。
恵方巻は、かんぴょうやキュウリ、卵といったもともとはこれ。という7品が巻かれたもので、とてもうまかった。
寂しい感じもしたが、待ちの老舗として長くこの形態でもいいから、永く続いて行ってほしいと思った。
帰りにちょっとスーパーに寄ってみたが、予想通り、20種類ほどに及ぶ恵方巻が広々と展開し、それぞれが天井に着く勢いで積み上げられている。みているだけで胃もたれしそうである。
夕方のこの時間から、これらがすべて完売するとは到底思えない。これは間違いなく、フードロス必至だろう。明日にでもきたら、半額にでもなっているかもしれない。
ほどほどにした方がいい。毎年思うけど。□