ぼくだけがいない街

 

ひさしぶりに多くの人の前に出てみると、まるで自分が他人のようだった。

 

意識は間違いなく「僕」という器の中に入っているが、

体と心が一体化されていないような。

まるで、ロボットとそれに乗り込み操縦する自分のような。

操縦がうまくいかない。ほんとうにこれが自分なのか、と違和感が消えない。

世界は何も変わっていないように見える。が、そこから自分だけ飛び出てしまって地面に足がついていないように感じる。

かわってしまったのだと思う。

こういう生き物に、自分は変わってしまった。

おいてけぼりにされたような、見えない何かを大きく喪失したような。

だけど、その代償になにか別の大きなものを手に入れたような。

そんな1日だった。□