顔で見る東京五輪 その1

 

東京五輪に魅入っている。

 

卓球混合ダブルスでの水谷隼選手と伊藤美誠選手の戦いに目が釘付けになる。

金メダルの瞬間は、思わず「よっしゃああ」とガッツポーズで叫んでしまった。
歴史的快挙である。

 

同じくして柔道では大野将平選手の金メダル連覇という結果となり、日本人の活躍がめざましい。

 

ファンとして、もちろん試合の展開や結果をはらはらと見守る気持ちがあるのだが、同時に、選手たちの「顔」を見つめている自分に気が付いた。

 

伊藤美誠選手と水谷隼選手は、史上初の卓球での金メダルにいよいよ手が届くという手に汗握る瞬間であり、壮絶な緊張感、プレッシャーの中で戦っていたのだろうと思う。
表情にもピリリとしたものが漂い、ただならぬオーラを出している。のだが、時折差し込まれる彼らの「笑顔」に、強く惹かれた。

 

楽しんでいるのである。

 

誰もが届かなかった、日本人として前人未到の雲の上にいることを、その瞬間に自分が対峙していることを、楽しみ、噛みしめているのがビンビンと伝わってきた。

多くの人間がいる中で、あんな表情を出せる瞬間を味わえるのは、どのくらいいるのだろうか。
少なくとも、自分には無い。羨望のまなざしと自分に成り代わって前人未到を共有してくれている彼らに願いを込めて、見つめているだけなのである。

そして、そんな表情が観られる瞬間というのも、このオリンピックだからこそ、なのではないか。また、オリンピックといった祭典でしか、こんな体験のできる機会は、なかなかないのではないか。

まるで取りつかれたかのように、テレビから離れられなくなる理由はそんなところにあるのだろう。

 

前線で戦うアスリートたちから、力を貰う。□