覆るオリンピック

 

東京五輪2020が終わっていく。

 

コロナ禍の猛威がさらに加速し、台風もかすめていくなど、別の意味でも、歴史に強烈な軌跡を残すような五輪となったが、アスリートたちの活躍はそんなこととは無関係であり、すべての力を注ぎ込んで上を目指す姿は、結果如何によらず、胸に迫るものあった。

 

いつものことになるが、予測できないのがオリンピックであった。

 

開催前に、金メダルの本命と言われた卓球の張本選手や、バドミントンの桃田選手だったが、競技が始まってみれば、1回戦、2回戦で敗れてしまった。

 

対し、予期していなかったボクシング女子フェザー級入江選手の金メダルや、バスケットボール女子の決勝進出といった快挙。

 

そして、男子400メートルリレーの痛恨のバトンミスによる棄権。

いったい誰が予期したであろう。

例えるならば、

世界の果ての秘境にいどみ、山を越え谷を越え、死力を尽くしたその先で貴重な鳥の卵を手に入れ、日本に割らないよう、割らないよう、慎重に、慎重に、持ち帰ったが、自宅に着いた瞬間、落として割ってしまったような。そんな、痛みである。

 

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バトンパスによる技術を味方につけメダルを獲得した前大会に続き、更に上を目指すためにギリギリの攻めたバトンパスを狙ったが、それがあだになってしまったようだ。

まさかの第一走者から第二走者へのパスのミスによる棄権。

この4年間すべてを注ぎ込んだ上でのこの痛恨の結果に、悔しいという言葉すら、涙すら出てこない、放心状態になっている選手たちの姿が痛ましかった。

いつも何が起こるかわからない。それが限界の中で戦い続ける人たちの宿命なのだろう。改めて、オリンピックの魔物を見たような気がした。□