ニューエイジ

 

少し前に、佐野元春がSONGSで名曲「ニューエイジ」について語っていた。

 

メロディのかっこよさとか、なんとなくシャープに感じる言葉が刺さって、ずっと聞いていたのだが、改めてその曲に込めた想いを聞いてみると、更にその魅力が倍増したように思う。

 

若者たちが、これから向かうのはディストピアである。

だけど、絶望をするのではない。

そのディストピアに舟を力強くこぎ進み、飛び込んでいく。生き抜いていく。

 

退廃的な気持ちの中を強い想いをもってくぐり抜ける若者へのメッセージが形になっていた。

やっぱり佐野元春はただものではない。

改めてトップアーチストが生み出す作品にノックダウンされて、自分の作品にこれだけの強い想いがあるのかを振り返ってみると、やっぱり自分には「無いのだ」ということになり、がっくりとした気持ちになる。

でも、それでも、世の中に散らばる美しいモノやコトに感動する感性は自分の中に確かにあって、その感動を、自分なりの形・作品に代えて、第三者に共有したい。気づいてもらいたい。という強い思いは、ある。それがどんなに小さいものであっても、どんなにあかぬけないものであっても、確実に、ある。

 

佐野元春の作品の中には、柱となる物語やメッセージがしっかりとあるけど、自分にはそんな物語はない。でも、それは物語を持っている人がやったらいいのである。そう考えたら落ち込むことでもない。

例えば、ミュージシャンの中にも、恋愛ソングを作れる人と、作れない人がいて、でも作れない人も作れない人なりに、彼しかできない楽曲を作っている。それぞれ得意とする領域で、それぞれのフィールドで、作品を作っていけばいい。そんな話をいつかラジオで聞いた気がするが、そんな話に近いのかもしれない。

僕の作品には、物語はない。ただ「綺麗かどうか」を問いかける。

それでいいじゃないかと自分を戒める。というか、慰める。□