制作日記(二人展まであと5日)

 

二人展と同時に市の美術協会展が重なっていて、そちらに向けた絵も一枚描かなくてはならなかった。

 

本当はこの一枚も二人展の方にに出せれば、使いまわしができるのだが、会期がもろに重なっているから、使いまわしができない。

こればかりは仕方がない。タイミングというやつです。

 

出品する絵はF3号なので小さなものだけど、絵は大きかろうが小さかろうが、最後に「決着をつける」という点では、あまり負荷は変わらない。

一枚の絵を完成させる。ということは、絵の大きさに関係はなく、多大なパワーを使うものである。

たとえ小さな絵であっても、キまらないときは、延々と画面の上で描いたり消したり、行ったり来たりを繰り返してしまうものだ。

 

そんな、悶々としたフェーズを経て、なんとか納得がいく形まで持ってきた。

額に入れてからも違和感があったので、額に入れてからも描き直していった。

最終的に、出来上がったとき、ふと漏れたひと言。

 

「ああ....面白かった。」

 

はっと思った。

吉田拓郎のラストアルバムも確かこのようなタイトルだったな、と。

吉田拓郎の妻が出演した、あるテレビドラマの登場人物が、臨終の間際にそんなセリフを漏らして亡くなっていくシーンがあったようで、そこからアルバムのタイトルをつけたようだ。

 

なにかの決着をつけたあと、ふと「ああ、面白かった」と漏らせることは、もっとも晴れやかで美しい結末なのではないか。

 

自惚れるつもりはないけれど、この1枚を、すごく気持ちの良い手ごたえで終わることができたのは、作家としてのしあわせのきわみだったと思う。

 

・・・で、これから二人展向けの小品を描くのである。同じく「気持ちの良い終わり」を迎えたく頑張るけれど。

間に合うんか。□