おじいちゃん、万歳。
そう吠えてしまった傑作です。
吉田拓郎がオールナイトニッポンで「運び屋」を絶賛していた。
劇場公開時から気にはなっていたのだけど、観に行くタイミングを逃していた。
クリント・イーストウッドって改めてすごい人だと思う。
ダーティハリーや荒野のガンマンなどの若い頃のキャリアから、市長を経て監督へ。それぞれの仕事で大きな成果を確実に残し続けている。
齢89歳でなお、この仕事。尊敬する。
「運び屋」の中で、クリント・イーストウッド演じる園芸家アールの、長い時間を生きてきたからこその、余裕やゆるさ、軍隊経験があるからこその威厳、人生の後悔とったことが、すべてクリント・イーストウッドの私生活に重なっているかのようで、それがまたまぶしいのである。
経営してた園芸場がインターネットビジネスに圧されて廃業になり、仕事一筋で家のこともかえりみず家族にも相手にされない。そんなアールが見つけた新しい仕事「運び屋」。
組織の厳しい掟など全く気にもせずに麻薬を運んでいることが、追いかける警察までをも翻弄して、奇跡的にもつかまらずに運び屋を続けることができている。
挙げ句の果てには、組織の若手に麻薬からは足を洗うべきだとアドバイスをしたり、自分を追いかける警察にも知らず知らずに人生の哲学を説いたりする。
なにものにも振り回されない、自分らしい生き方を貫く姿から目が離せなくなる。
そして、その先に待つ家族と組織に挟まれてしまう事件と、アールがとった決断。
はらはらしたり、わくわくしたり、涙したり。
すごい傑作に出会えました。
改めて、すごいおじいちゃんです、クリント・イーストウッド。
山田洋次と対談してみてほしい。□