今日の一冊

 

「満願」 米澤穂信著 新潮文庫

 

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漫画が好きだ。

映画が好きだ。

小説が好きだ。

ゲームが好きだ。

描くのが好きだ。

作るのが好きだ。

好きなものがたくさんありすぎて時間が足りない。

でも時間は誰にでも平等で、1日は24時間しかない。

ふだん仕事をしていれば好きなことに注ぎ込める時間は更に削られる。

残された小さな時間をどう活かしてこれらの好きなものたちと付き合っていくか。

長い時間、この命題と向き合って自分なりに出した答えが「周期」だった。

答えというより、ただ勝手にそうなっていった、という感じなのだけど。

四季というものがあるからだろうか「今これをしたい」という気持ちが周期で浮き上がってくるように思います。
映画を観たい。と体が求めるときは、徹底的に何本も観続けるのだけど、ほとぼりがさめると、本が読みたい。というふうに気持ちが周期的に切り替わっていくのです。

そして今は「本が読みたい」という周期のようです。

「満願」を読みました。
数年前に書店で「ミステリーランキング三冠」といった大々的な宣伝文句で、平積みになっていたのを覚えている。京都アニメーションがアニメ化した「氷菓」の原作者、米澤穂信氏のミステリー短編集である。

 

おもしろいです。

 

全六話、いっきに読んでしまいました。
読者は、作者の仕掛けを看破しようとずっと頭を働かせながら、物語を追いかけるわけです。それでも、そんな浅はかな推理は全部はずれて「えっ。そこ?」というところに結末を持ってくる。それでいて「なるほど。参りました。」と納得させてしまう。
生来、驚き屋なので一話読むたびに「わっ」とか「えっ」とか驚かされ続けて、驚きつかれるほどでした。
それにしても、よくもまぁ、こんな物語を考え出すものだなぁとうなってしまいました。パズルは解く人よりも、考え出す人の方が余程、頭がいいものだと痛感します。

全て読み終えた後、まるで1枚の完成された音楽アルバムを聴いているような気持になりました。
6つの異なる短編でありながら、どの物語も人間くささや余韻を残していてミステリーとしてだけでなく、文学としての完成度も重厚でした。

秋の夜長に是非。沁みますぜ。(今回はネタバレなしなのでタンパクに終えます)□

 

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この夏NHKでもドラマ化されてましたね。こちらも大変良くできています。