今日の一冊

  

 「噂」 萩原浩 著  新潮文庫

 

「えっ!と思わず声が出る衝撃のラスト1行」

 

17年前に初版された本が今、書店で平積みになっている。
本が売れないといわれる時代で、書店側も傑作を埋もれさせないようにすることに頑張っているようです。
その熱意をくんで、最近は書店のリコメンドをなるべく素直に受け入れて読んでみることにしている。
本書「噂」もそのリコメンドで手に取った一冊である。

「夜な夜な殺人鬼レインマンが現れて女の子の足首を切っていく。だけど香水ミリエルをつけていれば狙われない.........」

香水のプロモーションのために流した「噂」だったが、やがてそのとおりの殺人事件が発生する。というサスペンスミステリー。
真犯人には本当にびっくりしました。
ミステリってのは読めば読むほど「今度こそはだまされない!」という誓いを持って読んだりするようになるから、作家と読者の駆け引きはどんどんエスカレートしていきます。
それでも、やっぱり騙されてしまった。この真犯人は意外でした。ラストにもびっくりしました。
でも、犯人がわかったあと、主に犯人が出ているパートを改めて読み返すのだけど、やっぱりどうしても犯人とは思えなんだよねー。犯人らしい行動をしているという伏線があまりないんです。なんだか唐突に悪い人間になっちゃったみたいで。物語の最初から犯罪の伏線がちりばめられていたら、さらに「やられた!」という気持ちになれたと思うんだけど.....。それがちょっぴり残念だったなぁ。

書かれたのが17年前ということで、当時を象徴した女子高校生のルーズソックスやら山姥と言われたスタイルや、今は無きiモードが登場したりしているのは、時代を記録しているという点でもなかなか面白く読めました。□

 

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