「方舟」 夕木春央著 講談社
(以下、ネタバレをやや含んだメモなので注意)
何者かが山中に地下を掘り下げて作った怪しい施設に
迷い込んだ人間たちの中で、殺人事件が発生する。
床下からはどこかでもれている水が徐々に空間を埋めてきており、
残された時間の中で、犯人を特定して、脱出をしなくてはならない。
「SOU」とか「CUBE」といったどうしようもない閉塞感系の作品世界。
名探偵役が、犯人を追い詰めて終わりかと思いきや、
ラストにもう一発のどんでん返しが仕掛けられている。
伏線の回収や、どんでん返しは、見事。
屈指のミステリーと言える。
が、この閉塞感や、悲壮な世界観、絶望的なラストの後味の悪さは、
好き嫌いが分かれそうだ(SOUやCUBEを楽しく観られる人ならOKか)。□