今日の一冊

 

アクロイド殺し」 アガサ・クリスティー著 田村隆一
 ハヤカワミステリ文庫 (10点)

 

結末にひっくり返りました。

フェアかアンフェアかの論争が巻き起こったとされる名作だけど、僕はフェア派かな。
ミステリ作品に対してフェアかアンフェアかを議論するのは「犯人を当ててやろう」という気持ちで挑むファンにとっての話だと思います。
ぼくはミステリーを読むときには、「犯人を当てよう」というより「騙されたい」という気持ちで読んでいるので、本作にはこれまで読んだどんな作品よりも「騙された!!」という気持ちになれてすごく爽快なのでした。

学生時代にコナン・ドイルエラリー・クイーン江戸川乱歩島田荘司やらの本格ミステリーをむさぼるように読んだけれど、アガサ・クリスティーだけはあまり読めずに来ていたんです。
ここにきて、今ようやくひも解くことができて、とてもうれしく思っています。
やっぱり誰もがすごい、というような古典作品ってのは本当にすごいものです。

今回、図書館で借りて読んだのだけれど、借りたとき本のあまりの古さ、汚さに一瞬引きました。
本屋で新品を買って読もうかと思ったんだけど、思い直しました。

訳者が変わっちゃってるんですね。

図書館でかりたハヤカワ文庫の訳は田村隆一氏の訳で、すいすいと気持ちよく映像が頭に入ってくるほどの名訳なのでした。
今、手に入らないという気持ちも手伝って、読み始めたらもう本の古さは気にならなくなっていました。
ロアルド・ダールの「チョコレート工場の秘密」もティム・バートンが映画化するにあたって訳者も挿絵画家も全部入れ替えになった新訳版が登場したのですが、別の作品になってしまっていたのでした。

今日も読んでくれてありがとうございます。
訳者という存在もとても大切な作品の一部なのだと知りました。□

 

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