ごみよ、さらば。(後編)

書棚や自転車に加え、家電もいくつか処分した。

炊飯器、オーブントースター、電子レンジである。

故障などしておらず、まだまだ今後10年は現役で活躍できると感じるほど、元気に稼働していた。

15年以上使っていたこともあって、家族のような愛着がいつの間にか芽生えていたのだろう。

特に炊飯器は、ほぼ毎日稼働しておいしいご飯を炊き上げてくれた名器なのだった。

最後に抱きしめながらゴミ捨て場につれていったとき、こみあげてくる切ない気持ちがあって、思わず号泣してしまったのだった。家族との惜別のような断腸の想いだった。

以前、探偵ナイトスクープを観ていたら、長い間乗りこなしてきた愛車との惜別を見送りたいという依頼があった。別れたくないという想いもありながらも、乗り続けるのも限界というところまで来ていて、最後に涙の中スクラップになっていった。そんな映像に、思わずもらい泣きしてしまった記憶が蘇ったのだが、同様のことが今回、僕にもやって来たという事だろう。
惜別というのは、家族やペットなどの生き物だけではなくて、モノにも生まれる切ない感情なのだということを改めて知った。

 

その翌日。

仕事に出るときにゴミ捨て場を見たら、自転車とオーブントースター、そして炊飯器の鉄釜だけがごっそりと無くなっていた............。

これが都市というものなのか。中古市場にも出回らないような家具や家電であっても、さらにその深い世界では有意義に生き続けるのである。

なんだか複雑な気持ちにもなったが、大切にしていた愛機たちがまたどこかで活躍してくれていることを心より願いたい。□