肉じゃが。
料理をする者にとっての登竜門である(........と勝手に思いこんでいる)。
かつて肉じゃがづくりに挑戦したときは、
情報を集め、出汁をとり、何時間もかけてコトコトと煮込んだものだった。
だが、そんな努力もむなしく、どうも美味しく出来上がらない。
いつも行く小割烹の居酒屋の大将に、肉じゃがを美味しく作るにはどうしたらいいかを真剣に相談したものである。
大将の方も、こだわりの出汁の取り方やら料理のコツやらを、誰かに伝授したかったのかもしれない。期待以上の丁寧な説明・薀蓄をご教示いただいた。
さらに帰り際には「もっていきな!」と、大将がとった最高の出汁をペットボトルに入れてくれたのだった。
大将のとってくれた出汁で、改めて肉じゃが作りをリベンジしてみたら、なんともまあ美味しく出来たのであった。だが、大将の出汁がなくなり、再び自分でとった出汁を使ってみると、ちっとも美味しくはならなかったのである。
結局は、出汁のせい?と、取れなくもないが、それ以外の要因もきっといろいろ関係しているのだろう。シンプルでありながら、奥が深い「肉じゃが」なのである。
.....とまあ前置きが長くなったが、肉じゃがというのは本当に手ごわい登竜門的な料理なのである。少なくとも僕にとっては。
ところが。
最近新しく入手したオーブンレンジには、なんとボタン一つ、一撃で肉じゃがが完成する機能がついているというのである。
早速使ってみたのだが。
..............美味い!はっきりと美味い!!のだった。
耐熱ボウルに豚肉を敷き詰め、カットした人参、ジャガイモ、そして玉ねぎを順に重ねていく。ラップで軽く包んで、後はボタン一つ。600Wで20分程煮込むだけである。
まさか、こうも簡単に肉じゃがが出来てしまうとは.......!
かつての先輩たちが培ってきた料理のノウハウは経ずに、全く持って簡単に上書きしてしまう。
レンジってここまで進化していたのですね。
いろいろ調べてみると、なんでもかんでもレンジでできるみたいです。
でも美味しく出来てうれしい反面、なんだかさみしい気持ちも感じてしまったわけで。
なにはともあれ、しばらくはレンジで いろいろ作って遊んでみようと思ってます。□