今の気持ち

上野の森美術館大賞展を見に行く。


絵そのものに圧倒されまくったかといえばそうでもなかった。
いい絵もあった。がよくわからない絵もあった。
ただ確かなのは、ここにある絵の作者の誰もが気の遠くなるような時間とエネルギーを注ぎ込んでいるということだった。
わずか20代前半にして幾多の発表の機会を作り、積み重ね、20代後半にして早くも重鎮といわれるような作品を軽々と提示する。そんなのがごろごろいる。
これから自分が立ち向かおうとしている目の前の大海原の、いかに広大で、遠く、永く、そして孤独であることか。自分の想像を遥かに超えた気の遠くなるような無限。そういう思念のようなものに完全に飲み込まれた。


正直、とんでもない世界に足を突っ込んでしまったと思っている。でも引き返すつもりはない。というか怖くて引き返せない。戻っても何もないんだから。
進んでいくしかない。でも進んでも何もないかもしれない。否、たぶん、何もない。
今の自分はそういう容赦のない現実を受け入れることに葛藤している。
未だに自分の中には、いつかは自分もヒーローになれるのではないかというほのかな願いが残っている。だが、そういう若さは以前に比べてごっそりと削り落とされた。やがてはそんなものもすっかり消えていくのだろう。


でもやっぱり描くのをやめることはできないだろう。


いつ果てるともしれない永遠の闇を歩き続けるのだろう。□