映画「グエムル 漢江の怪物」(7点/10点)

個人的には、怪獣といえば円谷プロのように、着ぐるみが「あんぎゃー」と叫ぶのが好きである。
それに対して、アメリカ的なCGべったりのえせ怪獣映画はどうもぴんとこない。


グエムル」はCGのモンスターが暴れるということでカテゴリー的には後者であり、あまり期待していなかったのだが、ふたを開けてみると、これがなかなかよかった。


まず、ラストになるまで化け物の正体がわからないようなもったいぶった描き方をしておらず、いきなりオープニングから怪物が現れ、白昼堂々暴れまくる。そこに好感を持つとともに恐怖した。
行楽ムードの川原に、いきなり正体のわからない化け物が現れて人間を喰いまくる。そこにリアルな恐怖を感じた。
例えば上野公園を散歩していて、いきなり全く知らない化け物があらわれ襲いかかってきたら、おそらくこんな感じになるだろう。他人事とは思えないリアル。そんな描き方ができている。そこがうまいと思った。


さらにグエムルにさらわれた娘を救おうと立ち上がる家族の描写もよかった。
ときおりユーモラスな会話や挙動を見せながらも、結束する家族。さらわれた娘のぐうたら親父、アーチェリー銅メダリストのその妹、モラトリアムのその弟、のんきなじいちゃんなど、キャラクターの彩りもなかなかいい。そして個々の役どころが後半の化け物との戦いにもしっかり活かされていた。


期待はせずにリラックスして見るとよいかもしれない。□


●前回見た映画→「王と鳥」