二つのスタイル

 

茨木市美術展への出品を終えた。

 

搬入締切は日曜日の午前中までだったけど、台風24号の暴風雨がひどくなると聞いていたからその前に済ませた。

市美展にはこれまでずっと油彩の小品を出していたが、今回からペン画に切り替えた。
この春の個展で、油彩作品だけでなくペン画作品を出してみたところ、思った以上に好きと言ってくれる方がいて、ペン画ももう一つの僕の世界、僕にとっての別荘ということで「VILLA」シリーズとして進めていくことにしました。
ペン画を描いてみたいと思ったきっかけは、これまで出会ってきた諸先輩方の影響があります。

パリで版画制作を続けているN先生は、パリの地下鉄の駅のホームを版画作品にしていますが、こちらの本作とは別に、辞書の紙等にスプーンを描いた小品も制作されています。
以前、お話を伺ったとき、地下鉄シリーズは本当に一枚一枚を作り出すのが大変なのだけど、スプーンの小品は息抜きのように作ることが出来る。ということでした。
息抜きといってもこちらも作品としての完成度はとても高く、二つのスタイルをうまく回している先生のスタイルに強い憧れを抱きました。

パネルの上にジェッソをまき散らし、その上から4色ボールペンで線を描き足す抽象作品を作るAさんの作品にも影響を受けました。
もともとは巨大なフレスコ作品を本作として制作を続けているAさんですが、事故で足を骨折して入院してしまったときに、病院で歩けなくても作れる作品が無いか、とボールペンでさらさらと描きだしたのがこの新しいスタイルとの出会いになった。と聞きました。まさに、不幸中の幸いです。
Aさんもフレスコ画の本作と、ボールペン画の作品を並走して、どちらも充実させています。ぼくの「二刀流」へのあこがれは次第にふくれ上がって行きました。

油彩作品を完成させるのは、本当に膨大なエネルギーを消耗します。
また、油絵具とは15年の付き合いになりますが、自分にとって本当にこの画材がベストな画材なのか、最近疑問に感じ始めていたこともあります。

二紀会の藤原護先生にお会いしたとき、画材にこびることなく、自分にとって最もベストなやり方やスタイルをさがすべきだと教えてもらいました。

そんなこんながあってのペン画です。
「またぶれた」だの「おもしろくない」だの、やっぱりあーだこーだ言われるのでしょうけど。油彩をやめるわけではないし。この二つのスタイルを並走して続けていきたいなと強く思っています。ということで今後ともよろしくお願いいたします......。

 

茨木美術展は、10/5~10/14@茨木市役所南館にて開催。
お近くにお立ち寄りの際は是非ご高覧くださいませ。。

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