BARと目線が合ってきた。
やっとです。
やっとそういう年頃になってきました。
コロナ騒ぎが長引いています。
思っていた以上の籠城が長引くにつれ、騒ぎが始まった頃に抱いていたちょっとしたボーナスステージのような気持ちも、想像を越えたダメージとなって跳ね返ってきているように思います。
やっぱり、「家庭」と「業務」と「仕事」は物理的に離れていた方が良いというのが僕の総合的な所見です。これらが一緒の空間にあるということは、精神を日々蝕みます。
通勤とか移動といったものが、それぞれの境界を不可侵なものにしてくれている。
それを「楽」だとか言っているのは、仕事というもののエッセンスを体感していないことなのだと思います。それぞれで追い詰められるように働いていたら、とても同じ空間でいいなんて言っていられるはずはないと思います。いわば、仕事をするというのは、そこに一時的に撒き散らされた放射性物資にもまれるような状態になっているのだから、物理的に逃げ出したいと思わない方がおかしいよね。定時にはそこから逃げ出して、距離を置いた場所でしっかり休んで、きれいな状態になって、また職場に汚れにいく。それが最も健全な姿のように思います。
京都のギャラリーで個展をしている先輩作家へ挨拶に行ってきました。
昨今のコロナ騒ぎで集客の心配をしていましたが、そんなことは全くもって歯牙にもかけないほどの良い展覧会で、これから個展に臨む自分の不安を吹き飛ばし、また大いなるプレッシャーを与えてくれる機会となりました。
その後、会場で合流した先生と隠れ家のような居酒屋に行き、美味しいてんぷらと和牛をワインと共にいただいたあと、行き当たりばったりで見つけたBARに飛び込んだのです。
BARに行くにはちょっと早い時間だったかもしれない。
まだ店内のカウンターには誰も来ていませんでした。
だけど、テーブル席にいた先客は、舞妓さんと男性客の二人。
舞妓さんは、本物です。
長くこのあたりで暮らしていると、にせものかほんものかは、一瞬でわかります。
だけど、BARという空間で舞妓さんに遭遇するということはあまり経験がありません。たいてい祇園のお茶屋さんで閉じているからね。
驚くと同時に、ああ、ここ京都なんだな。と、なんだか嬉しくもなったりしました。
とても静かで落ち着いた良いBARでした。ラフロイグとジントニック、そしてカクテル「アラウンドザワールド」を10年ぶりにいただきました。とても沁み入るいい酒でした。
徐々に客も増えてカウンターが埋まる頃に、舞妓さんは帰っていきました。
この時間、空間を味わってみて、やっぱり外に出て、いろいろな人たちと空間を共にしてお酒をのんだり、美味しいものを食べたりするのは、人間としてなくてはならない、重要なものなのだと改めて感じました。
外ってのは、やっぱり心のリサイクルをしてくれている場所なのだと、改めて感じました。
4月に開催する僕の個展は、今日の先輩作家と同じ会場で開催します。
また美味しいものに出会えたらいいと思ってます。
来てくれるみなさんには、美味しいもの紹介しますぜ。おたのしみに!(絵はついでで結構仮面)□