原田治先生

 

ミスタードーナツを食べました。

 

近くに店舗はあるけど、なんとなく行く機会もなく、かれこれ5年ぶりくらいだろうか。実に久しぶりでした。

新しいドーナツもたくさんあったけど、オールドファッションやエンゼルクリームとか、スタンダードな商品もしっかり残っていて、やっぱりうまいなと感じました。

 

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ドーナツを入れてくれる袋をみて、はっとしたのです。

原田治先生のデザインです。

ポップで、かわいくて、おしゃれで、かっこいい。

配色がきれいだし、線もシンプルでわかりやすい。

アメリカンポップアートのいいところをすくい上げて、誰でも親しめるかわいらしいキャラクターになっている。

ドーナツを食べない人でも、欲しいと思わせるような魅力が、袋だけからもあふれだしています。

 

京都のインターナショナルアカデミーでイラストレーションを学んでいたときのことを思い出します。3年ほど通いました。

講師陣に原田治先生がおられて(というか教室の創始者のひとりだったのです)、絵を見てもらいました。

生徒の中には、キャラクターを生み出して、グッズを作ったりするイラストレーターになりたいという人が結構いて、そういう人たちは、原田治先生に絵を見てもらったり、指導をしてもらいたいと思って来ているようでしたが。

 

厳しかったです。

 

今から思えば20代の若造です。夢があれば何でもできる!という自信だけで前に進もうとしている人たちが多かった(僕もそのひとりでしたが)。

イラストレーションスクールと言っても、厳しい先生はほとんどいなくて、むしろ優しすぎる先生の方が多かった印象があります。

が、原田治先生は容赦がなかった。

 

「あまりおもしろくないな」

 

「これでどうやって食べていくつもり?」

 

「1枚いくらで月何枚描いたら食べていけると思ってる?」

 

当時は、なんて嫌なことばかりいう先生なんだ。と思ったこともありました。

もう少し夢を見させてくれてもいいじゃんか。と思ったこともありました。

でも、本当に生業としてのイラストレーターを目指すのならば、本気でかかってこい、本気で考えろ、やる気あるのか。という気持ちを、人に言われるでもなく、自発的にもてるようでなくては、やってはいけないのですね。
それを原田治先生は、誰よりも早く伝えようとしてくれていたのだろうと思います。
今になって、それがわかるし、とてもありがたいご指導だったな、と思います。

 

調べてみると先生は4年ほど前に他界されていました。

あれから15年くらいもの時間が経っていました。

とてもびっくりしましたし、残念におもいました。

でも先生の生み出された、キャラクターはずっと生き続けていきます。

これからもドーナツを食べるたびに、あのときの楽しかった思い出がよみがえることと思います。□