名著です。
サングラスに長髪。口を開けばマイブーム。
サブカルチャーのパイオニアであり、どこか胡散臭さを漂わせる、みうらじゅん氏が、自らの生い立ち、仏像への思いの根源を掘り起こしながら、つきすすんできた哲学を展開する。
「マイブーム」ということばで流行語大賞を受けてから、怪しいものを追いかけ続ける人という肩書きを受け、世間の目からは「楽しいことばかりやってそう」というイメージを持たれながらも、実はそれに応えるために、キャラクター「みうらじゅん」になること、演じることを受け入れていたことを語る。
仏像に、怪獣やウルトラマンのつながりを見つけてきた、幼いころのあどけない憧れやこだわりから始まって、長い人生を経てそれらを深く掘り下げていった先に見つけ出した「マイ念仏」が、深い。
世の中の視点では、わからない。どうでもいいこと。を、それでも自分の哲学としてずっと守り、足元を掘り続けてきた強さに対して、第一印象で受ける氏の、軽さ、緩さ、のギャップが、とても深いものであることに気づき、尊敬に変わっていく。
説教臭いこと、堅苦しいことは嫌い、という多くの人間を、そのゆるさやおかしい風貌や言動で招き入れながら、しっかりと、実は堅牢であつた姿勢や哲学が明らかになっていく。
誰もがもつ後ろめたい気持ちを、後ろメタファーと称し、マイ念仏「そこがいいんじゃない?」で落ち着かせて行く。
人生に迷うぼくたちへの指針を示してくれた。◻︎