もやテン2020 書籍部門
1.「マイ仏教」 みうらじゅん著
2.「十角館の殺人 新装改訂版」 綾辻行人著 講談社文庫
2.「水車館の殺人 新装改訂版」綾辻行人著 講談社文庫
次点
「魔眼の匣の殺人」 今村昌弘著 東京創元社
「不連続殺人事件」坂口安吾著 新潮文庫
「Iの悲劇」 米澤穂信著 文藝春秋
「死体を買う男」歌野晶午著 講談社文庫
「新装版 殺戮にいたる病」我孫子武丸著 講談社文庫
「折れた竜骨」米澤穂信著
「ゴルフ場殺人事件」アガサクリスティ著 早川文庫
今年は豊作でした。ほとんどがミステリですが、ベストワンはみうらじゅん著の「マイ仏教」です。大好きな特撮、怪獣の見立てとして仏像の世界にのめり込み、住職をめざす紆余曲折した青春時代をおもしろおかしく描きながら、「マイブーム」という言葉に行きついた後の現実も伝えつつ、「マイ念仏」という一つの回答を明快に示した名著です。難しい住職の説教を聞くよりもとても分かりやすく一般人の心に届くことばでした。
ミステリは綾辻行人の館シリーズを2冊。不思議な館と癖のある登場人物がかもす虚構感にワクワクすると共に、わかりやすい文体と納得のいく真相の解明は見事でした。
次点多数ですが、どれもランクインしても全くおかしくない傑作ばかり。
めちゃくちゃな登場人物群像劇でありながら、切なさをにじませるラストの真犯人の姿にしみじみとする「不連続殺人事件」。
オムニバスで個々の小さな謎を解明しつつ最後にすべてを俯瞰して大きな謎を刈り取る「Iの悲劇」。
本格ミステリでありながらロマンスのエッセンスもふりまいている「ゴルフ場殺人事件」。
2021もさらなる名著に出会えることを楽しみにしてます。□