山芋、愛。2020

 

今日は「山芋」について語りたい。

 

是非、語りたい。

 

もう山芋のことが書きたくて仕方がないのだ。

 

まあ、要するに、ぶっちゃけていえば、

 

「なんて美味いんだ、山芋はっ!!」

 

という叫び!なのだけど。

 

「うまいんだなぁ、これがっ!」とビールグラス片手に満島ひかりがにっこりとする気持ちに負けず劣らず、ぼくには山芋への愛がさく裂しておるのです。

 

山芋はなかなか手ごわい獲物だ。
皮をむいて、さあ切ろうと構えると、ぬるぬるつるつるしていてちょっと力を入れるだけで手の間から滑り落ちてしまう。
力を入れずぎず、入れなさすぎずで彼奴めを抑え込んで、包丁でざくざくと短冊切りにして、なんとかお皿に盛り付ける。

そこへ、ぶぁさあぁっ!と、降り積もる雪のようにもみ海苔を潤沢に振りかけてでき上がり。
お醤油をほんの数滴、できればわさびも盛り付けて、がばっと頂く。もちろん、片手には日本酒も忘れずに。
ぬるぬるとしゃきしゃきが共存する唯一無二の歯ごたえと、もみ海苔が、絶妙な相乗効果を発揮する。
その風味もろとも一丸となって喉を通り、胃に落ちていくと、体中に沁みわたるような快感がやってくる。頭ではなく体が、うまい!と吠えている。

真夏の猛暑日に我慢して、我慢して、我慢しつくした先にいただく麦酒の開放感に匹敵する。むしろそれを凌駕するほどの、快感である。
山芋は我慢などする必要もなく、いきなり五臓六腑に沁みわたるような快感が体験できる点で、麦酒以上の究極の食べ物なのかもしれない。

 

何の手間もかからない。

素材をただそのまま切って頂く。

それほどのシンプルな食材でありながら、これだけ体に沁みわたってくる。


トマトにせよ、焼き魚にせよ、果物にせよ。

余計な手を加えることなく、素材そのもので充分美味しく頂ける食べ物が好きだ。

手間をかけて作られた料理も確かに美味いのだが、これほどまでに体の隅々まで沁み込むようなことはない。

山芋に、ほうれん草のお浸し、トマト、鯵の干物。そして納豆と具沢山のお味噌汁。(と、少しの日本酒www)

 

手間はかけずに、抜群に美味しい。

 

日本人でよかった!と心から感謝する。□