夢十夜 Season5 第十夜

 

こんな夢を見た。

 

親のいない双子の赤ちゃんを引き取り、育てることになった。

兄が一人、自分が一人を引き取り、個々に世話をしていこうという話にしたのだが、実質、二人とも兄が引き取って、個別にマンションを借りて育ててくれていた。

しばらくは兄に頼り切りになってしまっていたが、一方的に全てをお願いしてしまっていることが申し訳なく、一人を引き取ることにした。

毎朝四時に起き、ひととおりの世話をしてから仕事に出ており、本当に苦しかったと兄が漏らしている。

いったん、一人の赤ん坊を引き取ったと記憶していたが、しばらくしてふと思い返すと、

はたして本当に引き取ったのか?

引き取ったとしてどこで育てているのか?

この1週間ほど、ちゃんとご飯を与えていたか?

.......など、とんと思い出せない。

もしかしたら赤ん坊を引き取ったのは夢で、やはり兄が食事を与えてくれているのだろう、生きているだろう。......などと他力本願を願いながら、あるいは、自分の部屋で餓死でもしているのではないか、と怯え、自宅に探しに帰る。

駅のホームにつくと、天井から下がる駅名看板の上に小さなバケツがのせられていた。
なんとはなく、そのバケツを眺めていたら、赤ん坊がひょいと顔を出した。

嗚呼、生きていた。と安堵する自分。

駅名看板の上から、飛び降り出てきた赤ん坊はもはや赤ん坊ではなく、小学生ぐらいの大きさまで成長している。
そこに、仲間と思われる3,4人の小学生が集まってくるが、誰も彼も身なりが悪く、ぼろぼろの服を着ていて、その日暮らしをしているようであり、いかにも悪事も働いているような風貌である。

赤ん坊は、同じみなしごの仲間たちに助けられながら大きくなっていたのである。

生きていてくれて、ほっとする反面、犯罪すらもいとわない生き方をしている彼をみてとてもいたたまれない気持ちになっている。□