ストレスフリー

 

先輩画家の個展開催のお祝いで、近所のおでん屋で軽く宴会をしたのだが、

その席で、

 

「(先輩は)ふだんはお酒は、ほとんど飲むことがない。ストレスがないから。」

 

というような話があった。

今では先輩と会う機会は、ほぼ宴会の席でしかないので、ずっと飲んでいる。というイメージでいたのだが、実際のところは真逆なのだった。

 

ストレスがないとお酒が必要なくなる。という話が印象に残った。

 

本当にストレスがない状態では、酒を飲むことは無くなる(あるいは減る)ものなのだろうか。

自分自身に問い詰めてみると、もともと、美味いものやお酒が好きな部分も確かにあるが、それ以上に、日々の人間関係やら業務の圧力が大変重く、その緊張から逃げ切った気持ちや、その日の嫌なことを忘れたいという気持ちから、酒に手を出している状態が多いのかもしれない、と気づく。
割合で言えば、60~70%くらいだろうか。

今改めて、考え直してみて、その割合の高さに自分でも驚いている次第である。

 

ストレスがない状態なんて作れるものなのだろうか。

描きたいという思いで画家となり、その1本で生きていくことは眩しいのだが、それを自分がやったとしても、今度は日々の生活に不安をもったりして、新しいストレスが生まれるような気がする。

要するにストレスフリーでいられるかどうかは、性格によるものなのではないか。

若かりし頃に、描きたいという気持ちにまっすぐに向かって、余計なものを捨てて、画家という世界に足を踏み入れた先輩をとてもまぶしく感じたことから、今も関係が続いているので、ストレスフリーを明言できる先輩を改めて眩しいと思う。

そうはなれない自分の言い訳は、ストレスを描くときの反作用の力として使っている。ということになるのだが、やっぱりストレスなんてないに越したことはないし、無くても今の自分なら描けそうである。

描き始めて20年にもなるが、やっぱりあのときから、自分は大きく変れてはいない。□