豊かか。偏屈か。

 

「外食はしない。自分で作る方がおいしいから」

 

そんなことをかつて職場の先輩が語っていた。

当時は自惚れてる、なんて思ってもいたのだけど、

今になってその気持ちに共感できるような気がする。

 

居酒屋で出てくる料理は、美味しくいただける。

だけど、高い。

自分で作れるような簡単な料理であれば、

居酒屋よりも安く、

しかも充分、美味しくつくれたりする。

 

例えば、味噌汁であれば、

冷蔵庫に残った野菜をざくざくと切って鍋に放り込むだけでも、

具だくさんな、美味しい味噌汁が、簡単にできてしまう。

だけど、外食でいただく味噌汁は、小さなわかめや豆腐が

雀の涙ほどに2,3浮いているだけで、数百円という。

具沢山なものであればそれだけで値段が跳ね上がってしまう。

 

例えば、クラフトビールであれば、

居酒屋で頂いてみると、1杯1000円。

コロッケを追加したら1個350円とかかってくるのだが、

自宅ならばワンコインで充分である。

 

普通の居酒屋では、一部に自分で作れそうと思ってしまったり、

実際自分で作ったが、おいしいと思ってしまったりすることが

増えてきている。

そんなことから、最近は外食するのであれば

「絶対に自分では作れないもの、作れない味」を

出してくれる店を選ぶようになってきている。

となると、それは、割烹やら料亭という店になってくる。

 

料理に限らず、歳を重ねると、いろいろ経験が増えていくから、

それまでのものでは飽き足りなくなって、どんどんレベルが

あがっていってしまうのだろう。

前向きにとらえれば、豊かになっているのだろうが、

後向きにとらえれば、偏屈になっているともいえる。

 

うれしいようでもあり、さみしくもあり、

歳を重ねるというのは、複雑なものである。□