改めて。
僕は何が描きたいのだろうか。
「バラックの美しさ」?
そうはいっているが、描いている瞬間は、
バラックのことは、あまり考えていない。
できあがった作品を振り返って、
バラックを描いた。とは言っているけど、
あとで理由をつけているだけで、実際は、
バラックのことを想ってなどいないんじゃないか。
確かに、描き始めるときの「感動のトリガー」は
バラックから受けている。
長い間風雨にさらされて色が落ちたり錆びたりして
様々な色合いを見せた人工物をみて、綺麗!
という感動を感じて、
そんな感じのものを絵にしたいと思うのだけど、
振り返れば、バラックそのものを描きたいのではなくて、
いわゆる
人工物と自然のコラボレーションが生み出した「発酵」というか、
なんだか綺麗なもの。綺麗な風景。.......を絵にしたいと思っている。
思うのは、目から入ったときの感動を家に持ち帰って、
アトリエに入り、キャンバスに向かったとき、
その感動はいつの間にか、手癖のようなものに上書きされて、
どっかへ行っちゃっているような感じがする。
感動を振り返る。想う。
ということを絶えずしながら手を動かすスタイルに引き戻すのが良いのかもしれない。
描き始めたときは、ふつうにできていることだったはずなんだけど。□