制作日記 「作らない。」

 

新しい作品の構想に取り掛かっている。

 

イデアは、ぽんと出た。

まず第一段階はクリアできたと思う。

イデアはひねり出そうとしてこじれると長い時間何も出ないことがある。何時間、何十時間たってもボウズの釣りのように。まずは、出てよかった。

 

第二段階は、そのアイデアを絵として構成する。

イデアが出たときは、もうほとんどできたと思っていたけど、エスキースに起こしてみたら思ったほどの強みがなかった。

そんなとき、なんとかして面白くしようと「作る」のだが、今回はそこにブレーキをかける。何十年もやってたら、そこが吉凶の分岐点であることがなんとなくわかってきている。

 

作ったら、絵が終わる。

 

作った絵が面白くなったためしが、これまでの自分には一度もない。

料理で例えれば、素材をそのまま食べるのが美味しいはずだったのに、試食してみたら素材の味を弱いと感じて、調味料をどんどん足していく感じ。

よくするためにしていることが、知らず知らずのうち、本来の味がかきけされて、もう何の味なのかもわからなくなってしまう。美味しいかどうかもわからない、そんな料理ができあがる。

そういうことを、やめたい。やっぱり素材の良さを前に押し出す、そういうアプローチを死守した作品作りをしたい。

 

作らない。

 

今回も、そういう絵を描きたい。完成は来年。□