2007年のBRUTUSと2017年のBRUTUS。
10年を経ての「国宝」特集である。
2017年は国宝ブームである。
(と僕だけが勝手にそう言っているだけかもしれないが)
京都国立博物館での国宝展に加え、
東京国立博物館での運慶展、
奈良県立博物館での快慶展など、
国宝の一般公開が顕著で胸が躍る。
10年前のBRUTUSを今改めて見て驚いている。
なんと素晴らしい紙面だろう。ということと、
当時の自分がこの紙面をそれほど面白いと感じなていなかったこと。
今この2冊を並べて眺め、国宝の素晴らしさを噛み締めると同時に、
自分がようやくこの価値の片鱗を感じることが出来るようになった、
という変化を歓び楽しんでいる。
10年前の自分は「国宝」という国が定めた単なるお墨付きにすがり、
ただのステータスとして、知っていたら何か特するのでは、という
ヨコシマな気持ちで国宝を眺めておこうとBRUTUSを買ったのであった。
そして、この紙面を見て、「地味であり、思ったほど面白くもない」と
感じ、捨てようとすら考えていたのである....。
当時の自分は海外に出て、もっとカラフルで見た事も無い建築や美術に
触れたいと思っていたのである。
だが、歳を重ることで、ゆっくりと
相撲を楽しみ、落語を楽しみ、国宝を楽しめる人間に変わってきたようだ。
ただ表層を眺めるだけでなく、一歩踏み込んで作品が生まれた時代背景や
アーチストたちが考えてきたこと、感じたことを噛み締める。
この楽しみに気付くことができたことをとても嬉しく受け入れている。
現在登録されている国宝は1108点。(重要文化財は美術工芸品で10654点)
これまで出会えたもの、これから出会えるもの。
それを楽しみに明日も美術と共に生きる!□