丹後半島周遊

新大阪から城之崎まで2時間半、さらに車で1時間半。


丹後半島へのアクセスはすこぶる悪い。
むしろそんな場所だからこそひっそりと、それでいて凛とした美しさをもつ集落が点在しているのだろう。
空と地をまっすぐに分断する日本海の水平線を臨みながら国道178号線をひた走る。


竹野という集落に足を踏み入れた。
迷路のように細い道にひっそりと家々が並ぶ。
家並みの向こうには水平線が見える。
ただずっと水平線を眺めているおばあちゃんがいる。
音といえば、玉に家の中からわずかに皿を洗う音だのテレビの音だのが聞こえてくるだけである。
静かだ.....。
本来は海水浴場とのことで、真夏になるとここが海水浴客で賑わうらしい。が、むしろそのほうが不自然で想像ができない。


スケッチをするのにも何の苦労もない。目に入るどこからでも描けてしまう。


一人もくもくと描いていると近所の家から初老の男性が出てきた。
描きながら少し話す。
どうやら以前は学校の先生をされていたらしい。教師の視点で美術にも興味があるとのこと。
この町の美しさについて聞いてみると、やはり住む立場からも充分認識していて、徐々に消えていく美しい集落をスケッチに残していってください、と言われる。


やがてこの町ですらなくなってしまうのだろうか.....。


何故、良いものが悪いものにおきかわっていくのだろう。
そんなことを考えていた。□