★制作日誌

引退した先輩方が1年をかけてじっくりと1枚の作品を作り上げる。
年齢も画歴もまったく関係はない。
人一人がじっくりと時間をかけて丁寧に作った作品は、付け焼刃の作品では、到底かなわないほどの迫力を持っている。
僕の作品は、まさに付け焼刃であった。
毎年そんな気持ちになるが、今年はとくにひどい。
先輩方の多くは、若かりしときには業務やら家庭のことやらがあって、製作にはなかなか時間が取れない、といったかつての自分を知っているから、若者には寛容である。
たとえ付け焼刃な作品であっても「業務もしながらようやる」なんてほめてくれたりする。
だけど、そんな情に寄りかかることは、作家としてとてもみじめなことである。
時間があろうがなかろうが、体力があろうがなかろうが、作品は他人なのである。
どこかの知らない人が目にするのは、ただ作品だけであって、どんな年齢の人が描いたか、どんな境遇の人が描いたかなんてことは全く見えもしないし、関係もないのである。
ただ作品がいいか悪いかだけを、「無意識の非情」で見ている。
そこに向かって、僕らはただ戦わなくてはいけない。良いものを作らなくてはならない。
作品がすべてを語るのである。
後悔をしない制作を日々続けなくてはならない。

 

「やり切った。と自信をもって言い切れる毎日を過ごそう」