2019年の最大の失敗は「個展の開催を中止したこと」だと思う。
これまでどんな苦境であってもなんだかんだで乗り越えて来た。
今年は確かに大きな環境の変化があったが、直前まで開催できるという自信にあふれていた。
だけど、環境の変化は思った以上に大きく、退くことを決めた。
でも、退いてはいけなかった。
どんなにグダグダだったとしても、それが今の自分であるとして、なんとしても個展は開催しておくべきだった。
「退く」ということは、目先の都合の悪いことから一時的に逃げるモルヒネのようなものだと思う。
その瞬間はいい。目の前の痛みやら観たくないものから逃げることができる。だがそれは一時的でしかない。むしろ退いてしまうことで、その先の未来に続くはずだったものが全て失われてしまう。さらに、一時的には逃げられたとしても、時間が経つほどにそれはより大きな痛みとなって膨れ上がる。
そして一度でも退けば、体はその楽に浸かり、まるで急流に流されて行くかのように退き続けてしまう。
目先にたいへんな苦労が待ち構えていたとしても、退いてはいけない。いつも前に出るべきだと思う。
「常に前に出る」
それこそが実は、一番楽なのだった。それがこの1年で体を通じて学んだことである。(つづく)□