時期尚早

 

土いじりをしてみたい。


若いうちは街に出て、外から入ってくる多くの娯楽やら情報やらにまみれているだけで満足しているが、ひととおり経験した年ごろになると、そんなことにも飽きてきて、ふと土を触りたくなったりするのだろう。

ベランダ菜園を始めたとか、庭に小さな畑を作ったとか、市や区が貸し出している田園を借りて野菜栽培を始めた。....なんていう話を、最近いろいろなところから耳にする。
人間も、生き物として、人工的なものではなくて、自然とともに生きるということのありがたみがDNAに埋め込まれていて、やっぱり自然に還りたいと思っているからだろうか。

 

かっこいいことを書いたけど、実は以下の話はそんなにかっこよくはない。

 

町内会の集まりで「ミニトマトの鉢をプレゼント!」という企画があって、ミニトマトの鉢をもらったのです。
ちょうど土いじりをしてみたいなんて思っていたから、これをきっかけに、僕も土いじりデビューか!と、若干気持ちが盛り上がったりもしたのだけど、その後、鉢は町内会の集会場前で管理するということになって、世話をするために集会場前に行かなくてはならないという運用になりました。
それが面倒だったのでしょうか。
以来、一度も集会場前に行くことができず(行かなくてはと日々思っていたのだけど、めくるめく時が過ぎてしまい)、ある日、玄関に鉢植えが帰ってきていました。

「あとはよろしく」ということなのでしょう。
おそらくそれまで町内会の代表の方々が「しょうがないなあ」と水をくれていたのかもしれません。

いずれにしても、戻ってきた鉢は、トマトを実らせていたものの、色が変わり一部は落ち、葉もしょんぼりしていて、すでに元気がなくなっておりました。
そこからもう一度再生を図る!ということができたらよかったのだけど、昨今日本を覆った大きな雨雲が連日の豪雨を呼び寄せて、雨が上がった朝、庭では、鉢が倒れておりました...。

もはや再生は不可能でしょう。

ちょっと土いじりやってみたい。ではまだ時期尚早だったようです。

なにをするにも「ほんとうにやりたい」という気持ちになるまでは手を出してはいけないということでしょうね。

主体という気持ちは大切です。

土いじりを本当にしたい。という気持ちが沸き上がるまで、もう少し時間がかかりそうです。合掌。□