天ぷらの夜

 

その夜、仕事が遅くなった。

カレーでも食べて帰ろかなと思っていたのだが、目的のカレー店の前にたどりついたとたん、OPENの看板が、CLOSEに変わった。

.......なんという間の悪さ。

まあ、カレーはやめとけ。という誰かのお告げかと受け止め、町でもちょっとした人気のてんぷら店に入ったのです。

天ぷらってのは、ほんとうにピンからキリまであって、安すぎる店ではジャンクフードになるし、ちょっといいものになると、すごく高級な店になってしまう。

その店が人気なのは、目の前で揚げた、できたてのものを1つ1つ出してくれる高級感をだしながら、1000円程度という安さをキープしてるというところにある。

すぐに人気がでて、行列ができる店になってしまったので、なかなか行くチャンスがなかったのだが、その日は遅い時間だったので、行列もなくなっていて、ならば。ということで入ってみたのだった。

海老天、イカ天からはじまり、ナス、かぼちゃ、舞茸の野菜天、そして鯵、鱚の魚天とつづく。

味噌汁もついて、ごはんもおかわりが自由。それで990円という、いたれりつくせりの構成。

 

もともと少食で胃も弱いくせに、こういうところにくると、どうも欲望にブレーキが効かなくなる。

「名物の卵天はいかがされます」と言われて、つい「お願いします」と乗せられてしまう。そこに加えて、「ごはん、おかわり!」とまで叫んでしまう。

だけど、おかわりご飯が届く頃には、もうお腹がいっぱいになってしまっている。

そこでやめればいいのに、もったいないと、頑張って全て食べる頃には、恒例の胃もたれが始まっている。

 

やっぱり、天ぷらは油だと思うのです。

ちょっと背伸びをしたお店なんかでいただくと、絶対にもたれません。

おなかがいっぱいになる。というのも、もたれているのを満腹と勘違いしているだけかもしれない。

この値段で、これだけやってくれているのには、ありがとう。という気持ちですが、やっぱり安いてんぷらは、油が悪い。

今改めて、ちょっと背伸びをした天ぷらも食べてみたくなりました。

まあ、卵天の追加注文とおかわりを控えなかった罰でもあるんだけどね。

いいものを少しだけ。

注意したいものです。□