今日の映画

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデン劇場版

 

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戦争が終わった直後。大切なものや人を失い、心に傷を残す人たちがいる。

気持ちを伝えたくても、文字が書けない人もいた時代。

「手紙」という通信手段があり、それを代筆する人がいた時代。

ヴァイオレット・エヴァーガーデンという、かつては兵士だった女の子が、戦後、代筆業をするようになり、さまざまなお客さんとの出会いを通じながら、自らの喪失感や愛を確認し、埋め合わせ、成長していく物語、の最終章。

 

ヴァイオレット・エヴァーガーデンとギルベルト少佐の結末が、話の骨格となってはいるが、僕には「手紙」という手段が電話に移り変わっていき、儚く消えていくノスタルジーが、沁みた。

お客さんの1つ1つの思いを丁寧に文字に聞き出していくという仕事が、科学技術の進歩で消えていきそうになっている。

町の中心には電波塔が建造され完成間近になっている。

その完成を迎えることで電話という手段が主流になっていく予感を感じさせる。

写真のなかった時代に、自分の存在を残すために、自画像を残してもらうという時代にも似ている。

そんな時代がはるか過去になった現代シーンのパートでは、当時の社屋は博物館になっている。

博物館を訪れた人は、展示された数少ない資料を眺めるだけで、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが体験した激動の物語のすべてをおしはかることはできない。

僕らが、普段なんとなく立ち寄っている博物館やら資料館の1つ1つにも、こんな物語があったのではないかと思うと、背筋が伸びるような気持になる。

 

付録の小説は3種類。コンプリート目指す人も少なくはないだろう。□