土瓶蒸しを頂きました。
「香りの料理」とでもいうのでしょうか。
外国人からみたら「ただの汁やんけ」とでも言われそうだけど、まさにこれこそが日本の秋の味覚です。
松茸、銀杏、鱧、鶏、海老....等、小さな土瓶蒸しに詰め込まれた食材と共に蒸し込まれたお吸い物は、もう香りをかぐだけで、秋の到来を感じ、しあわせな気持ちになります。
絵画仲間らと2~3杯ほど小さなおちょこで、香りをいただいた後は、恒例のじゃんけんがはじまります。じゃんけんで勝った順に、土瓶蒸しの中の食材を選んで食べられるというルールです。鱧や鶏、海老は1つずつしか入っていないので、小さな争奪が繰り広げられるのだけど、これも秋のひとつの楽しみでもあります。
思えば、鶏肉なんてのは、高いものでもないしどっさり入れてもいいわけです。それをひと切れだけとするのが、また日本料理の美学のようにも感じます。
例えばトマトは、自分で何かを作るときはまるごと1つを切ってしまったりするけれど、日本の料理店や居酒屋での出し方は、輪切りにした1きれだけだったり、ミニトマトなら半分に切った片方を皿の上に乗せているだけだったりする。お腹いっぱいにするというよりも、料理を美しく見せるための材料として使っているように思えます。
茶碗蒸しに入れる鶏肉なんてのは、もう小指の先くらいに小さく切って、2つ3つ入れるだけで充分だったりもします。
ボリュームよりも、食べやすい形にしたり、量を抑えたり、色合いをきれいに魅せる。そういうささやかな食材の使い方に、美しさを感じます。
食欲の秋です。おいしいだけではなくて、たのしい。そういう食べ歩きを楽しみたいと思います。
追伸。それにしても今年も秋刀魚は難しそうだねえ..........。□