グラタンの反省

 

グラタンを作ってみた。

 

料理は好きである。

キッチンは自分にとって、第二のアトリエだと思っている。

だが、料理が好きなことと、料理が上手いことは、同じではない。

自分は、料理は好きであるが、残念ながら、上手いとはいえない。

それは、絵画が好きであっても、素晴らしい絵画を描けるのとは別であることと似ている。

 

手間をかけずに、美味い料理を作りたいと思っている。

焼き魚は、その最たる成功事例だ。

鮭や鰤は、ただ焼くだけで美味い。

幼い頃からもう数え切れないくらい食べてきたが飽きることがない。

しかも、日本酒にも合うし、納豆とご飯もあれば、最強のごちそうになる。

 

逆に、手間がかかる料理は、それがたとえ美味しく出来たとしても、繰り返し作ることはない。

例えば肉じゃがは、花嫁修業のお姉さんが、お母さんに最初に叩き込まれる基本の料理だと聞いて、自分も作ってみたことがあるが、確かに美味しくはできるのだが、手間がかかりすぎる。これを基本といわれる花嫁は大変だろうと思う。

肉じゃがを作るくらいなら、ポトフのほうがずっと簡単に作れる。肉じゃがとは違う風味だが、ポトフがあれば肉じゃがは無しでも、自分は耐えられる。

 

要するに、「手間いらずで美味い」が自分の料理のモットーとなっているようだ。

 

前置きが長くなったが、そんな自分がグラタンを作った。

どういう風の吹き回しだったろう。

ただ「こっち方面」の料理を作ったことがなかったので、克服したいと思った。ワインやパンが合う料理も身につけておきたい。そんなところだったろう。

結果から述べると、うまく出来た。

奇跡的に。である。

 

これほどまで、手間がかかる料理だとは思わなかった。

ホワイトソースをつくり、マカロニを茹でる。

鶏肉、マッシュルーム、海鮮、たまねぎ、ブロッコリー、、といった食材を切り、火を通しておく。.......など。

ただ具材を全部耐熱皿に放り込んで、レンジで加熱したらできるなどと思い込んでいた(舐めていた)ので、まあ段取りが悪い悪い。

マカロニが茹で上がったときに、その他の具材がそろっておらず、そこからカットしたり火を通したりしていたから、マカロニがカラカラになってしまったり、ホワイトソースがガビガビになってしまったりした。こんなものがグラタンになるのだろうか、と絶望的な気持ちになった。大海原の真ん中に放り出されたような気持ちだ。

改めて、これが結果として、そこそこ「グラタン」になったことは奇跡だったと思う。

 

これほどに手間のかかる料理であったことを思い知り、ふだんの自分ならば、二度と作らない。となったであろう。

が、グラタンについては、どういうわけだか、リベンジをしたいという気持ちが高ぶっている。

手間はかかったが、それっぽいものが出来たことに小さな手応えがあったことと、なんとなくだが、工夫や経験次第で、この手間を大幅に解消できるような予感もするのである。

一見、手間のかかるレシピであっても「手間いらずで美味い」に持っていけそうなメニューは、リベンジという展開が、自分にあることを知った。

 

今回の、あわわわわ。を忘れないうちに、グラタンリベンジに臨みたい。□