制作日記

 

 

今改めて、自分は日本画が大好きなのだと感じている。

 

自分が描く作品は洋画ではあるが、目指す作品の姿は日本画でありたいと願っている。

あの主張をしない、それでいて凛とした存在感を静かに、確かに、強く、感じさせる日本画のもつ空気のようなものが、自分の作品からも出たらいい。

 

今、かつて訪れた美術展の図録を眺めたりしているが、今改めて思ったのは、美術展に見る作品の多くは、その絵師たちの「代表作品」なのである。

つまり、失敗作とか見るに値しないと判断したような小品というものはほとんど掲載されていないのである。

今、そういう作品がとても見たい。

 

どんな絵師だって結局は人間なのだから、うまくいくときもあるし、失敗するときもある。

というか、多くの仕事と言うのは、失敗の方が多いのだと思う。

プロ野球の選手だって10回中3回ヒット打てば高打率ということになるのだから。つまり7回は三振していいということだ。

 

誰もがいつもホームランばかりは打てない。打ちたいけど。

 

個展の会場を、ホームラン級の作品だけで埋め尽くしたいとはいつも思うけど、やっぱりヒットもあるし、ファールフライも、三振もある。

今、偉大なる先輩絵師たちの、そんな「凡退」を見たいと思うのだ。

 

まあ、有り体に言えば、自分がうまくいかないことの言い訳を、「だって先輩たちだってうまくいってないでしょ」と逃げたいのである。

要するに、僕は今、次なる手に迷っているということです。□