ハリーポッター所感

 

ハリーポッターを読了した。(Audibleなので聴了というべきか)

 

4巻まではかつて読んでいたが、5巻以降から物語の結末までは知らずにいて、いつかは結末まで読み切っておきたいと思っていた。ようやくそれが叶った。

この物語は、ホグワーツ魔法学校の7年間の生活を、7冊で描いていて、生徒たちである少年や少女が歳を重ね、それぞれのフェーズでの冒険や人生体験を読者が読みながら共に成長できるというようなコンセプトで描かれた作品だと思う。

 

4巻までは完全に少年・少女に向けた冒険譚、娯楽、児童文学として秀逸な完成度だったと思う。

だが、5巻以降は、異性への関心に目覚めたホグワーツの生徒たちがキスシーンを乱発させたり、不条理な人事で配属となった陰湿な教授にいびられ続けたり、大切な人間が死んだり、友情に取り返しのつかない大きな亀裂が入ったり、それまで冒険小説として楽しんできた感覚と同じままでは楽しめない、「現実」を前に押し出すような内容になっていた。

読む側にも、作品に合わせて成長を求めるという感じだろうか。

少なくとも自分は後半の展開は好きにはなれなかった。

物語自体も複雑で、なにがどうなったかがよくわからない箇所もあった。

ファンタジーとしての世界観や冒険観、物語の面白さは大きく崩れてしまったと感じた。

ハリーポッターの7年=7冊を通じて、人生の楽しさ、厳しさ、大人へなっていく過程をSAGAとして描こうとしていたように感じたが、作者は冒険小説・児童文学は秀逸だが、恋愛やら政治、人生哲学を描くのは不得手だったのではないかと思う。

作品が狙っていることは理解をしたが、全ての分野で万能に描けているようには思えなかった。

5巻から、本が厚くなるのに反比例して、おどろきとか、面白さはめっきり少なくなり、悲壮感や暗さ、重さ、卑猥さが多く感じられた。

 

厳しいコメントになってしまったが、結末までたどり着けた達成感が得られたのは良かったと思う。□