ピクミン

 

年賀状は、すっかり少なくなった。

 

それでも友人・知人からもらった言葉を一気に眺めていくと、

自分を取り巻く「世界の声」が大きな一つの力となって脳に刺さってくる。

 

「子供が大学生になって家から出て、また夫婦二人に戻ったよ」

「去年は久保によく会った」(久保って誰だっけ)

「最近、農園始めたわ」

「個展、行きますね」

「孫三人がいて今、幸せです」

「今度子供見せてください」

「年末は島、行ってくる」

「準会員推挙おめでとうございます」

 

.........これだこれ。

自分が生きたこの1年と同じ時間を、別の空間、別の場所で友人・知人が生き、それが一言に凝集されて、次々と矢となって自分めがけて飛んでくる。

それはまるで100匹のピクミンが集まって分厚い壁を破壊するような大きなパワーだ。

元旦の朝に浴びるシャワーのような清々しさ。

みんなの声が一つに集まってそんな強いパワーをもらうのです。

 

なんでみんな、この貴重な日本文化を放棄しちゃうんだろう。

時代の一言で片づけるには惜しすぎる。

いつでもどこでも飛びまくっているSNSでは、

とてもこのシャワーは体感できないというのに。□