我が隣人。
女の子。であることはわかっている。が会うことはほとんどない。
生活の時間帯が全く逆だからだ。話したことも、当然ない。
最近、彼女が出社していく靴音で目が覚めることが多い。
なんと贅沢な目覚まし時計。
そんな生活。
ある日、彼女の部屋のドアの取っ手に、傘が掛けられていた。
彼女の友人が借りた傘を返しに来たのだろうか。と勝手に推測していたが、よく考えてみるとそれはありえない。
このマンション自体の入り口がセキュリティドアになっているためだ。
やがて、雨の日は決まってドアの取っ手に傘が掛けられていることに気付く。
どうやら玄関の狭さと盗む奴もいない。という知恵から生まれた彼女の工夫のようである。
台風二号が接近中の今晩も傘はかけられていた。彼女は今部屋の中。おそらくあと一日でやってくる週末への期待を一心に、既に安眠中であろう。
この距離感が、いいんだよ。.....ストーカーじゃねぇぞ。言っとくけど。□