映画 「ホテル・ルワンダ」 (6点/10点)

フツ族ツチ族という二つの種族間で内戦が起こったアフリカのルワンダ。そこで難民となった人々をかくまったホテル支配人の実話。


映画の良し悪しは別として、この映画を通じて自分が大きく変わってきていると感じた。ちょっと前までなら大きな感動をしたのでしょう。でも妙に冷たい目で見ていた自分。


まず、そもそもこれは映画でやるべき題材ではない。と感じた。
事実だけを当時の資料や映像のみでたんたんと伝えるドキュメンタリー形式の番組か何かで公開した方がよかったのでは。と感じた。
作り手の主人公ポールに対する思いが強すぎて、スーパーヒーローのように描かれているけれど、突然内戦が起こり、友人・知人たちを目の前で殺せといわれたら、誰だって「やめてくれ」と懇願するでしょう。さらに、野ざらしにしていたら誰もが抹殺されるような状況下で、主人公は偶然彼らをかくまう場所を有していた。そうしたら誰でもそこに避難させるでしょう。少なくとも自分ならそうする。


エンターテインメントなら作り手の思い通りに視聴者を面白がらせる方へ引っ張っていってくれていいんだけど、このような事件についてはそれはよろしくない。事実のみを伝え、それをどう見るかは個人に委ねるべきだと思う。作り手の一側面的な見方・考え方に視聴者を誘導するのはNGでしょう。


そう考えると、以前見た「戦場のピアニスト」も本作と同じということになるんだけど、当時は純粋に感動していたから、自分はこの短期間でまた変貌したんだなあ。と感じた次第。ひねくれてきたのだろうか、俺。


追伸:中でも印象に残ったのは、
・虐殺されたツチ族の民で道が覆いつくされたのを見たポールが、ショックで手が震えてネクタイを結べなかったシーン。
・世界に助けを求めようとするポールに対し、「外の奴らにはせいぜい『かわいそうだ』くらいにしか見えない」と忠告するジャーナリストのセリフ。□


■前回見た映画→「春のめざめ」