初日に会場に立ってみて思ったけれど、
やはり作家と言うのは会場に居なくてもよい。
否、居ない方がいいね。
人形文楽で言えば、お客さんが観たいのは人形の方なので。
人形を操る人間は必要なんだけど、黒子=目に見えないもの。でなくてはいけない。
今回の個展の開催前にある作家の展覧会を見学させてもらったのだけど、会場に来たお客さんと作家が大声で話していて、時折こちらに話しかけてきたり、ちらちらと視線を投げてきたりして、ほとんど作品に入っていけなかったのです。
以前、奈良で、大先輩の回顧展を見学させてもらったときは、会場を埋め尽くす作品の数々が、作家の想いを全て語ってくれたのでした。やはり展覧会とは絵が主役であるべきです。
作家は言いたいことを作品にすべて託さないと。
作品の横にくっついて、作品についてあれやこれや言葉で補足しようとするのは無粋です。表現しきれなかったことへの言い訳のようにも聞こえるし。
とはいえ、やっぱりお客さんの顔も見たいし。どこに立つのがいいのだろうか。
会場のそういう場所を探して、お地蔵さんのように静かにすごしたいと思っている。□