万年筆の調子が悪くなる。
少し書くとすぐにインクが出なくなる。
軽く振ると出るようになるが、しばらくするとまた出なくなる。
日に日に調子が悪くなって、もうほとんどインクが出なくなる。
絶望的な気持ちになって、ついにプラチナに電話したのだが、修理はやぶさかではないという回答をしてくれたものの、修理がとても混雑していて、治して返却するのに1か月くらいはかかりそうということを聞き、とても待ってはいられない。
かつては万年筆ドクターたる人が定期的に販売店に来ていて、調子を見てくれていたのだが、長引くコロナ禍でそんな企画も中断したままだ。
藁にも縋る気持ちで販売店に電話したところ、まずこちらで状況を見てみましょう。という女性からの返事。
急ぎ出かけてみると、店に入るやいなや先ほどの電話に出たであろう女性、マスクをしているが若い。大学生のような小柄な女の子がさっとやってきて「見ましょう」と僕の万年筆を手に取った。
そしてわずか10秒。
「ペン軸がずれていますね」
キュッとペン軸を絞るとあら不思議。あっというまにインクが出るようになったのであった。
すっかりペン先がつぶれるなどしていて、調整が必要なものだとばかり思いこんでいたのだが、ふたを開いてみれば、単なるペン軸のずれであったことが発覚したのだが、すごいのはこの女子(失礼)だ。きっと文具女子なんでしょうね。観ただけで即時に原因を探り当てちゃうくらいの。これは「神」だと思いましたね。
これしきのこと、どの店員でもできるわ。ということなのかもしれないけど。それが他の店をしりぞけるだけの価値となって、文具ファンの自分を引き付けているのだということを身をもって知ったのでした。今後ともよろしくお願い致します笑□