TOWER RECORDは日本遺産。

 

久しぶりにTOWER RECORDに足を運んだのです。

 

昨今は足を使わずになんでもかんでもネットで購入という時代になっているけれど、今、あらためてTOWER RECORDに行ってみて、この店は「日本遺産」だなと思ったのです。

 

エレベータの扉が開くと突然、目の前に開ける非現実。
ポップな楽曲が流れる明るい店内。
新譜を特集する小さなブースがぎっしり作られ、手書きのポップやら、アーチストに関連する過去の作品なども含めた視聴コーナーが併設される。
そして、フライヤーがみっちりと詰まったラックには情報が溢れる。
さらに、独自の特集グッズコーナーや、音楽の専門雑誌・書籍のコーナー。等々...。

そんな店内から零れ落ちるほどのあふれる情報が、エレベータを下りた瞬間「わっ」と同時に目や耳に飛び込んでくるのである。
そんな同時に襲い掛かってくる情報を受け、楽しく慌てふためきながら、必死に受け取り、取捨選択をしていく脳からは、どぴゅっと快感物質があふれ出す。

この快感を久しく忘れていた。

例えるならば、高級レストランのビュッフェディナーに行ったときに似ているかもしれない。
レストランに入店した途端、和洋中など50品目の豪華メニュー食べ放題。みたいな状況が目に飛び込んできたとき、どうやって片付けていくべきか、瞬間僕らは小さなパニックになる。
寿司がある。ステーキがある。小籠包がある。カレーもある。豚汁もある。カツもある。ケーキもある。....。
空腹を満たしたいという欲望がありながも、どこから手を付けていいかわからず、いったん冷静のふりをしながら会場内を歩き回り、どういったメニューがあるかの全体確認から始めたりする。
それから用意されたトレーや皿を手に取り、料理をもり始めるが、とても一度にはとり切れない。
第一陣はどこまで攻めて、第二陣で残りのどこを攻めるか....。なんていう迂闊な計画を立てながらも、全制覇を目指したりする。

そんなうれしいパニックと同じようなものが、久しぶりに訪れたTOWER RECORDにはあったのである。

 

「THE SPELL BOUNDのCD、ありますか」

 

結局自力で見つけることができずに店員に尋ねてみたら、あ、それはこちら。とすぐに案内してくれた。入口そばにしっかりブースがつくられていたのだけど、見つけられなかった。それほどにこの店は情報が多いのです。そしてそんなふうに溺れることも楽しい。
ブースにはBOOM BOOMSATELITESのベストなんかも並んでいて、これも欲しいな。なんていうセレンディピティもやっぱりあって。
楽しい買い物をさせていただきました。

 

即時に欲しいものにたどり着くネットの便利さっていうのもわかるけれど、やっぱり探す喜びってのも、決して忘れてはいけないほど大切で、更にその過程で偶然見つかるセレンディピティのような喜びってのも大切で、自分の眼と手と足を使ってほしいものにたどりつくプロセスというものを、決して失ってはいけないものだと、思い知ったのである。

これ、無くしちゃったら、将来、いつの間にか僕らは枯れ葉になっちゃっているのかもしれないよ。

 

日本遺産ですよ、TOWER RECORDは。

間違いなく。

大切に守っていかなくてはいけないものです。絶対に。□