ビジュアルインパクトとストーリー

 

ニューノーマルな時代と言われている。

 

直接人と顔を合わせて対話する機会が減りつつある現在、

「自己紹介、余暇の過ごし方」という題目でオフラインの

座談会が実施されることになった。

 

プロジェクターで写真をうつして自己紹介をした

あるメンバーのプレゼンに不覚にも爆笑してしまって、

改めて、

プレゼンは「ビジュアルインパクトとストーリーだ」。

と思い知ったのである。

 

1枚目の写真。

あべのハルカスの屋上でとったセルフポートレート

四隅抜きでドン!と視界に飛び込んでくる。

それだけでもビジュアルインパクトとしてはすごいが、

写真の隅に小さな字で

「好きな漫画=ゲームセンターあらしとあった。

 

以前「サラメシ」でも

好きな映画=死霊のはらわた」というような、

「なんでそれ?」というつっこみをいれたくなるような

自己紹介がテロップに入ってたりするのを観たことがあったが、

思えば、それが一番「残る」のである。

 

好きな漫画として、

誰もが見ている「One Piece」やら「ゴールデンカムイ」とはせず、

時代は止まってしまっているかもしれないけど、

ほとんどの人にはわからないかもしれないけど、

刺さる人には心臓の奥まで刺さるような、時代を代表する一作を選ぶ。

 

「1つだけ好きなものを紹介して」

というような制限で情報を出すとき、

あえて「え、それ?」を突っ込むことで、

強烈なインパクトを残すのだなという体感をしたのである。

 

 

2枚目以降の写真は、

週末に出かけた場所ということで、

秩父ムーミンのテーマパークを紹介していた。

 

ムーミンの家の写真を見せた後、

「はい、ムーミン出てきました」

と家の中から着ぐるみで出てきたムーミン

20メートルくらいの距離から取った写真が出た。

 

なんでそんなに遠いの。と思いながら次の写真。

 

「はい、スナフキンも出てきました。

 けど人間がやっててどこか気持ち悪い。

 日本語しゃべってるし。」

 

このあたりで、ややシュールな感じが漂ってくる。

 

「最後はムーミンと記念撮影しましたが、

 三密を避けてムーミンは20メートル後ろでーす」

 

ここで爆笑。

 

公式のテーマパークではありながら、

全体的にどこかずれているという違和感を、

ストーリーの流れを持たせながら見せて、

笑いのツボに刺さる紹介になっていた。

 

二人が並ぶ写真のはるか後方にムーミンが立っていて

ポーズをとっているのだが、

これを記念撮影と呼ぶのか。

そもそもムーミンがコロナを気にするのか。

そんな突っ込みが次々とわきでてくるや、

突然、笑いのツボに刺さってしまったのである。

 

そこには、

ただとってきた写真を並べるというのではなく、

ストーリーというか、時間の流れというのがあった。

ただ1枚がなんとなく出てきたらここまで笑うことは

無かっただろうと思う。

記念写真まで導くまでのストーリーが、じわじわと

笑いのツボを刺し、最後に爆発したという構成だった。

 

 

なんとはない座談会ではあったのだけど、

プレゼンの極意を観たような気がして、

奇しくも楽しい学びとなった。なってしまった。

 

学びってどこにでも転がっている。□